青木孝夫

2011年の巨大地震と大津波、そして原発事故による連鎖災害によって突きつけられた人類への警鐘とともに、世界不況・超円高など厳しい資本主義経済が私たちを取り巻いています。特に原発事故は、人類が自然の法則との調和を逸脱し、未知の領域に踏み出してしまった感があります。私は、このような時代における太鼓芸能集団「鼓童」の存在理由を、そして運営していく株式会社北前船(きたまえせん)の在り方を、あらためて自らに問うています。

私たちは今こそ、日本のみならず世界中の人たちに未来を信じるチカラと勇気を「太鼓の言霊」で轟かせ、夢と希望を届けたい。こんな時代だからこそ「鼓童」=芸能の存在理由があると信じ、この苦難の荒波を超えて何としても前に進んでいかなければなりません。

結成31年目の鼓童グループは、このような時代を生き抜いていくために自らに新しい風を吹かせ、失敗を恐れない緊張感ある組織に生まれ変わる必要があります。どんな組織も30年の間には甘えや澱んだ空気が知らず知らずのうちに蔓延します。創業以来の常識や方法に甘んじることは組織の五感を鈍らせ、淘汰される危険を孕んでいます。伝統とは革新の連続であるからこそ生き残ることができます。常に情熱と冷静さを携え、誰も踏み入ったことのない道を絶えず切り拓いていくことが重要です。

鼓童グループは、芸術監督にご就任いただいた坂東玉三郎さんに日本人の美意識や芸術の在り方をさらに深く学び、いのち燃やして打ち込んでいく鼓童の存在を世界中の人たちに知っていただき、太鼓芸能がさらに深く、さらに広く、発展していけるよう努力してまいります。鼓童が生命力溢れる未来へ向かうための舵を取ることが私たち北前船の役割であり、またかつて日本各地の文化を運び根付かせた北前船(きたまえぶね)のように、太鼓芸能が能や狂言、歌舞伎と並ぶ日本を代表する芸能文化へと発展する一助となることが私の夢でもあります。

そしてお客様に、この私たちの永遠の航海に共に乗船していただき、絶え間ない冒険の旅を共に楽しんでいただけることを願っています。

株式会社北前船
代表取締役社長 青木孝夫

鼓童