鼓童ブログ Kodo Blog

作品紹介

鼓童交流公演12月/メンバーメッセージ


鼓童交流公演

鼓童の交流公演は、2014年12月の今ツアーよりキャストと演目を一新。新しい舞台を、演出の内田依利がご紹介します。12月は京都と東京で公演いたします。是非劇場へ、足をお運びください。


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鼓童交流公演

Photo: Takashi Okamoto

写真は交流学校公演の様子。


鼓童、そして和太鼓の原点こそが『永遠』/鼓童稽古場レポート


鼓童、そして和太鼓の原点こそが『永遠』

文●今井浩一(フリーライター)、写真●岡本隆史

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佐渡に初めて渡ったとき、その日最後の輝きを放ちながら、水平線の向こうに沈んでいく太陽がなんとも感動的だった。佐渡汽船の新たな高速カーフェリーがこの秋に「あかね」と名づけられたばかりだけれど、まさにそれがあの日の夕陽の色だった。そして合わせて佐渡で大切に育てられている天然記念物のトキの色にも重ねたネーミングなのだそう。そんな佐渡の夕陽は、島の豊かな自然を象徴している気がして、それがなぜなのかはわからないけれど、他所で見る夕陽に比べて格段に劇的だった。

鼓童の稽古場で、新作『鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠』初の通し稽古を見ていて、実はそんなことを思い出していた。まるで秋祭りを彷彿とさせるような懐かしくて、温かな音色、オープニングからほどなくステージ後方に浮かび傾いていく太陽が、すぐさま佐渡のイメージを喚起させてくれたのだ。

それにしても『永遠』とはまた、過ぎるほどに壮大で、深遠なタイトルだ。

そのことについては、坂東玉三郎芸術監督はこうしたためている。

Photo: Takashi Okamoto
「永遠というテーマについて自分なりに思いを巡らせていたある日、ふと「自然の営み」が螺旋状に続いて行く、という考えに行き着いたのです。「自然の営み」を羅列することで「永遠」を表現出来たらと。厳密に言えば「永遠」というものは無いのかも知れませんが、それに繋がるきっかけとして 夜明け 光 雨 風 雲 波 星々 夕暮れ その中の「人間」というものが思い浮かび上がってきました。」

 

全員で試行錯誤する稽古場は
心、音、そして笑顔の交歓に満ちあふれていた

Photo: Takashi Okamoto

自然の営みは、人智ではどうにもならない圧倒的な力もあれば、小さな芽にも宿る生命の神秘のような力もある。そんなさまざまを、和太鼓の音色のあらゆる表情でつづっていくのが『永遠』、ではないだろうか。

これから始まるドラマを映し出すスクリーンが闇に広がっていくような曲「夜霧」(前田剛史作曲)で始まった。おりん(※1)の高音が、島を吹き抜ける涼やかな風のように響きわたる。そして横笛を軸にいろんな、新たに取り入れたものも含めた“打つ”楽器がベースのリズムを刻むメロディーは、前述した秋祭りの祭り囃子のよう。日本人の中に古くから伝わるなりわい、繰り返し繰り返し行われてきた営み。そんなものに対する郷愁をかき立てる。同時に波の音、風の音が加わり、佐渡の自然の豊かさを、海であったり山であったりの恵みへの感謝を思わせる。

(※1 正式名称は「ここちおんず」という仏具)

 

『永遠』の1部は、冒頭とエンディングが、こうした世界観で包み込まれている。和太鼓の爽快感を期待する観客をするりと交わし、はぐらかしてくすぐり、やがて燃え上がらせる。

桶胴のソロから続く「カタライ」(前田剛史作曲)では、一人の奏者の周りを大小いろんな大きさ、いろんな形の和太鼓がぐるりと囲み、そのさらに外側を4人の奏者が囲むというユニークなポジショニングで演奏が繰り広げられていく。それはまさにフリージャズのセッションのようだ。

Photo: Takashi Okamoto

「この曲は玉三郎さんから太鼓で囲ってみたらいいんじゃない? 囲った状態でつくってみてほしいと言われて作曲したものです。おしゃべり、会話するというテーマがあって、太鼓によってさまざまな拍子、それぞれに違う言葉(音)を持っているのですが、その個性がうまく混じり合って一連の曲になっていけばいいなあと。生きているうえでの、コミュニケーションとしての会話、人間の根源的な営みを描いているんです。玉三郎さんは太鼓を和音的な楽器として捉えていらっしゃるというか。音の高低が混じり合ったときのメロディー、複雑な中にも大きな波があるとか、そういうものを求められている気がします」

Photo: Takashi Okamoto

稽古場では、メンバーと同じ目線で、まさに「一緒に」作品づくりをする芸術監督がいる。すべてを瞬時にチョイスしていく姿は、太鼓の演奏はしなくとも、直感的に魅力的な要素がわかってしまうかのごとく。「カタライ」の返し稽古でも「いっそ、こうしてみたら」とメンバーのアイデアを大胆に膨らませていく。次!次!次!と叩く太鼓を指で素早く指示していく。奏者もそれを右へ左へ身体を切り返して負けじと叩き続ける。芸術監督のアドバイスによって、若い奏者たちが、動きが、音がより自由に、大胆になっていく。一息ついて芸術監督とメンバーたちが笑顔の交歓している稽古場は、皆がハジけている。そして先ほどのフリージャズは、奏者同士の濃密なやりとりへと変貌していくのだ。

 

芸術監督のさまざまなオーダーから
改めて太鼓の魅力に気づくことができた

Photo: Takashi Okamoto

この通し稽古が行われたのは9月の中旬のこと。8月21日から23日に行われたアース・セレブレーションの喧噪が徐々に秋風に変わりかけていた。しかし鼓童村の稽古場では、この11月からツアーを開始する新作『鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠』の稽古が熱を帯びていた。世界を、国内をかけめぐっている鼓童とあって、数少ない全員が集まってのリハーサルは集中度がものすごい。『永遠』に取りかかったのは今年1月のことだったそうだ。「今回はすべて新曲で行きましょう!」の芸術監督の一言から始まった。これまでの作品は、鼓童の代表的な曲を核にアレンジしたり、形を変容させながらつくられることが多かったが、『永遠』はすべてがまっさらな状態からのスタートだ。


Photo: Takashi Okamoto

芸術監督から渡された『永遠』について(冒頭の)短い文章をもとに、イメージなどを一緒になって話し合い、共有した。「それをもとにアイデア出し、発表をする機会を何回か持ちました。その内容は曲であってもいいし、太鼓を叩く形でも太鼓の配置でもなんでもいいんです。それを玉三郎さんがご覧になって、その中から得た着想をもとに新作が練られていきました。この曲のこの部分を膨らませたい、この形を使ってみたいというものを核に徐々に作品ができていく感じです」(船橋裕一郎)。その後は芸術監督がチョイスした“種”をメンバーそれぞれが育てていく作業がずっと続けられ、その全貌が姿を表したのが9月上旬だった。

『永遠』は、坂東玉三郎が芸術監督となって演出を手がける第3作目。第1作目の『伝説』は、鼓童の伝説的演目と芸術監督が手掛けた新作曲をつないだ作品だった。第2作目の『神秘』は、闇と光の交差する幻想的な空間で、演劇的な要素、役者としての立ち方を追求したものに。芸術監督が求める表現、それは鼓童にとっての新たな挑戦というべきものだった。

Photo: Takashi Okamoto

「以前の鼓童というのは、歯を食いしばって、汗を飛び散らせながらデカい音を出してなんぼみたいなところが少なからずあった。玉三郎さんには逆に引き算を要められて、しばらくは小さい音、繊細な音をひたすら練習しましたね。そのことで一つの太鼓がどういう音色を持っているのかを改めて知る機会になりました。だから作曲するときでも、そうやって発見した音を散りばめられるようになりましたね」(前田剛史)。

Photo: Takashi Okamoto

「自分たちで演出をしているときには、新しいことをやろうと思っても、昔からの鼓童の伝統にしばられた部分が意外と大きいんだなと気がつきました。半纏、鉢巻きや褌が脱げなくて、脱げないがゆえに踏み出せなかった。確かに最初は衣裳を脱ぐことにさえ抵抗がありましたが、脱いでみたら気持ちも変わって、新しいことにチャレンジすることが面白くなってきました。玉三郎さんは思いもかけないことをおっしゃるんですけど(笑)、それが今では意外としっくりくることもある」(坂本雅幸)。

Photo: Takashi Okamoto

「今まで鼓童は、和太鼓と日本の民俗芸能をベースにしていたので、洋楽的なリズムをやること、ダンスのような身体のさばきには違和感があったんです。玉三郎さんが新しいことを積極的にやらせようとされていて、戸惑いながらも自分たちの受け幅が広くなってきて、今度はこれ、今度はこれとわかるようになってきたんです」(石塚充)。

2012年の正式就任以前から続く芸術監督との10年におよぶ交流を通して、その思いはメンバーの中で消化、浸透してきたからこそ、『永遠』では、皆がフラットな状態からスタートできたのだ。

 

和太鼓とは何か? そんな問いから生まれる新たな魅力

Photo: Takashi Okamoto

『永遠』の第二部もおりん(※2)の音から始まる。どうやらこの音は、観客が日常から離れるためのおまじないのようなものかもしれない。小さなシンバルのようなチャッパと鈴(すず)などの鳴りもののアンサンブルから始まる。そこから4人が抜け出し、コンテンポラリーでありながら土着性も感じさせるダンスを繰り広げる。チャッパやガムランの鳴り響く不思議なメロディーに併せてのダンスが異空間へと観客を誘う。

(※2 正式には「久乗おりん」)

 

異空間で最初に出会うのは「焚火」(小田洋介作曲)。まるで和太鼓の概念をくつがえしていくようなユーモアにあふれた演奏だ。5人の奏者が和太鼓の縁を円を描くようにツーっとなぞる、コンコンと叩く。和太鼓というもののすべてを使って、明らかに和太鼓とは違った音とリズムを生み出していく。誤解を恐れずに言えば、目を閉じて聞いていたら、デッキブラシやドラム缶などを使ったパフォーマンス、『ストンプ』の世界に入り込んでいくようだった。それが和太鼓が奏でているものとは思えなかったのだ。鼓童の影響を受けて『ストンプ』が誕生したのはよく知られていることであるけれど、その世界観の原点であり、太鼓の奥深い可能性を見せられた気がした。

Photo: Takashi Okamoto

「永遠というテーマを考える中で、僕にとってははるか昔にさかのぼる必要性があったんです。永遠は未来だけではなく過去にもあるわけじゃないですか。だったら和太鼓の基本的な演奏方法が確立される前の段階、和太鼓が和太鼓になる前の生まれた瞬間を想像してみたとき、曲をつくるうえで、従来の和太鼓の音のつくり方を外してみようと思ったんです。もしかしたらあんなの和太鼓じゃないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないけど、本当の原始の時代はどんなふうにやっていたかなんて誰もわからないじゃないですか。“従来の”という考え方自体が基本ができ上がってからのことですから」。

小田がこの発想にたどり着いたのも、『伝説』『神秘』という作品を経て、芸術監督が目指しているものが何であるかがわかってきたからだと言う。これは芸術監督が歌舞伎というものを伝統芸能ではなく現代と呼吸する表現に昇華させている姿勢に通じるものではないだろうか。鼓童の中心メンバーである小田が突出してこうした自由な発想を生み出すことは、ほかのメンバーへの影響も大きいはず。

 

Photo: Takashi Okamoto

やがて、笛の音とともに、ふさのついた長いバチを振りかぶっての踊りが始まっていく。円を描きながら回っていくうちに、それは平胴大太鼓を叩く動きに変わっていく。平胴大太鼓が1台から3台へ、叩き手も1人から数人へ。こうしたフォーメーションをはじめ、間(ま)、しなやかな動き、緩急などは芸術監督自身が大切にしているものであり、それらが皆に浸透しているのを感じさせる。「永遠というテーマを聞かされたとき、何かが回っているイメージが浮かんだんです。とにかく回りたいと考えて、最初はバチを回して、身体を回して、太鼓の周りを回ってみたら、このまま太鼓を増やしてたらと玉三郎さんがおっしゃって。回っているうちに同じところだけではなく、高まっていく感じを出せたり、太鼓を叩くだけではない空気の動きを出せたらいいなと」(石塚)。稽古場に太陽系のような関係性、引力が生まれていた。

Photo: Takashi Okamoto

そこからはおなじみの力強い和太鼓の世界。迫力あるリズムが疾走していく。鼓童のメンバーが、和太鼓と一体化しているようでもあり、壮絶に格闘するかのようでもある。気がつくと小田をはじめ3人の奏者が掌で太鼓に向かっている。それこそ、原始そうであったかのような姿からは、太鼓と闘いを通して対話をしているようでもある。これだけいろんな表情を見せた和太鼓がラストスパートに向かっていく。無骨に打ち続ける刹那がより際立っていく。最後の一打ちまで。

 

積み重ねてきたものの大切さを知る
鼓童版“温故知新”

和太鼓の魅力、和太鼓を超えた新しい魅力を鼓童のメンバー自身が発見し、それをまた観客自身が発見していく。それが『永遠』。改めて和太鼓という“もの”に無垢に向き合った。和太鼓とは何かを改めて考え、和太鼓を知り、そして当たり前だったことを投げ打ってさらに新たな可能性を広げていった。そして『永遠』では、鼓童の作品を締めくくってきた象徴たる大太鼓も登場するシーンがなくなった。でも違和感はまるでない。その代わりさまざまな和太鼓がいろいろな表情で魅せる。それが和太鼓とは思えないような音までも奏でる。だからこそ、力尽きるまで叩き続ける姿がより際立ち、感動を引き起こすのではないだろうか。そして同時に、30年以上積み重ねてきた歴史、方法論、経験、環境などなどが改めて素晴らしいものであることを実感している。新たなチャレンジの意義は、そこにもあった!

「玉三郎さんがいらしてからは、なんと言われようとも今までやってこなかったことにチャレンジをしてきた。もしかしたら、何が新しい、何が古いとかではなくて、どんなことをやっても鼓童の舞台だねって言われるようになりたいです。伝統曲も、コンテンポラリーダンスも同じ土俵で語られる武器にしていきたい」(坂本)。

「民俗芸能、和テイストのものには自分たちはすぐ行けるんです。この際、やれることはすべてやってしまうのがいいんじゃないかと思いますね。どんどん可能性を広げて、あとは自分たちで選べばいい」(前田)。

最後は小田の言葉で締めたいと思う。

Photo: Takashi Okamoto

「玉三郎さんが目指しているものが、うっすらですが見えてきました。将来どういうふうな太鼓打ち、芸能者になってほしいかという思いが見えてきましたね。求められているものが普通じゃない。より高度なものなんです。あえて言えば、これまでの鼓童より見た目は華やかに仕上がっているかもしれないけど、より古代に回帰しているのかもしれません。でもそれは鼓童の歴史じゃなくって、太鼓の生まれた理由にまでさかのぼっている感じ。僕らがやらなければいけないのは、これまで積み上げたものを置いていくこと。今まで積み上げたものの上で今があるわけですけど、同時に手放していく作業もしていかないといけない。たとえば自己表現への欲求を置いてきた先に、自分が見えてくるように。」(小田)。

だからこそ、鼓童にはこの言葉を贈りたいと思う。
鼓童は変わらない、しかし鼓童は変わり続ける。それこそが、『永遠』の姿なのかもしれない。

▶You Tube で再生 http://youtu.be/8_BHh_OyRVs

 

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

news20141120oet170

11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館

 

今井浩一(フリーライター)
日本大学芸術学部美術学科絵画科卒業。大学時代に演劇に出会い、演劇にハマる。演劇情報誌シアターガイドにて16年を過ごし、編集長、スーパーバイザーなどを経て、まつもと市民芸術館広報に。5年半勤めた後、フリーの編集・ライターに。信州を拠点に演劇をはじめ、アーティスト・クラフト作家、農家などを取材。最近はイベントの企画なども行っている。

新作「永遠」映像公開!


Photo: Takashi Okamoto

芸術監督・坂東玉三郎氏演出による第3作は「永遠」と題し、さらに進化した舞台をお届­けいたします。ツアーは11月より12月にかけ、佐渡を初日に日本の各都市を巡ります­。

▶You Tube で再生 http://youtu.be/8_BHh_OyRVs

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠
http://www.kodo.or.jp/news/20141120oet_ja.html

news20141120oet170

11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館


鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠/メンバーインタビュー


Photo: Takashi Okamoto

鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠

芸術監督坂東玉三郎氏演出の第三弾「永遠」(えいえん)。11月の佐渡を皮切りに、師走の各地にうかがいます。まだまだ製作過程ですが、演奏者の石塚充、前田剛史に話を聞きました。

話●前田剛史、石塚充
写真●岡本隆史
月刊「鼓童」2014年7月号 Vol. 337より

Photo: Takashi Okamoto

永遠というテーマについて私なりに思いを巡らせていたある日、ふと「自然の営み」というものに行き着いたのです。
「自然の営み」を羅列することで「永遠」を表現していこうかと。
厳密に言えば「永遠」というものは無いのかも知れませんが、それに繋がるきっかけとして
 夜明け 光 雨 風 雲 浪 星々 夕暮れ 星空
その中の「人間」というものが思い浮かび上がってきました。

坂東玉三郎


石塚充

芸術監督演出作品 第三作目の始まり

今回の作品作りは、何の台本もなく「じゃあ、どうする」というところから始まったので新鮮、恐怖、すごいドキドキです。僕達が、玉三郎さんと10年以上のお付き合いがあり、芸術監督になっていただいて3年、3作目にして、遂に全くの「無」からつくるという創作段階に来たという感じです。鼓童としても新しい領域に入ったと思いますし、太鼓のコンサートとしても今までにないものになると思います。

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

様々な種類の楽器

鼓童はもともと「太鼓を聴かせるコンサートをする」グループ。それが玉三郎さんと作った第1作目の「伝説」と2作目の「神秘」は太鼓や芸能を元に、より視覚的な要素を加えて見せるコンサートを創ったと思います。
3作目の「永遠」は、コンサートやショーというよりも、シンプルに人間を見せたい、人間が見えると感じています。それなので、曲もがっつりと太鼓に向かうパートは必要最小限で、自分の気持ちを表せるような小さ目の楽器を多く選んだような感じです。それらの楽器で会話のようなシーンや寝ているシーンもあるし、雨が降っているシーンも表現する。
「永遠」と聞いた時は、とてもスケールの大きなテーマだと思いましたが、ある意味で、今までで一番等身大で人間臭い舞台になると思っています。
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前田剛史

Photo: Takashi Okamoto

「永遠」というテーマと新曲

初めに「自然」をモチーフにすることが思い浮かびました。「永遠」というものは解らないけれど、自然の営みのように連なっていく感じ。あとは「時間」。音楽で言うと、ループしてトランスする音楽や民俗音楽がそうで、今回の新曲は、そういうリズムを繰り返すものがあります。自分が作った「夜霧」という曲は、太鼓やボナン(インドネシアの打楽器)、リンがひたすら音を刻んでいて、曲が終わってもずっと繋がっていくような、音としては終わっても、音楽の空間としては永遠と繋がっているような思いを込めてみました。

自分以外のメンバーの曲もメロディーものが多かったのは、皆、自然や情景を表現しようとしていたように思います。リズムをループするだけではなく、もっと壮大なイメージを持っているからでしょうね。自分には「永遠」という言葉にはとても大きいスケールのイメージがあって、具体的なことがどう結びついていくのか消化できていないところがあります。「永遠」って何か?と考えだすと本当に難しい。

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鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

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11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館


「アース・セレブレーション2014」稽古場レポート


Photo: Takashi Okamoto

4月11日~13日に鼓童村で行った城山コンサートの稽古の様子を、ライターの今井浩一さんに取材していただきました。

取材・文 今井浩一(ライター)
撮影 岡本隆史

アースセレブレーションに新たなる萌芽の予感

4月も半ばに差し掛かろうとする頃。東京はもう葉桜になり鮮やかな緑が目立ち始め、特急電車の車窓から眺めた信州では桜は満開の峠をそろそろ越しているところだった。揺れに揺れた船に乗り、小木港についたころには、晴れの予報に反して、佐渡は小雨が降り始めていた。予想外の肌寒さ。島の天気は変わりやすいのだという。迎えのクルマにのって数十分、鼓童村へ向かう道中はまだまだ冬の色をとどめてはいたけれど、来るべき春の息吹がまさにこれから弾けんとする“タメ”の季節に感じられた。
鼓童村でもそんな春の鼓動と重なるように、いや、ひと足早く力強い萌芽を予感させる熱い時が流れていた。8月22日(金)〜24(日)に開催される「アース・セレブレーション2014」の稽古が、2泊3日の短期集中で行われていた。「アース・セレブレーション」と言えば、音楽の祭典というイメージだが、今年は、BLUE TOKYO(ブルートウキョウ)、DAZZLE(ダズル)という、国内外で活動する注目度の高い二つのダンスカンパニーが参加。天から降り注ぐようでもあり、地から湧き上がってくるかのようでもある鼓童の太鼓のリズムとセッションを繰り広げる。どうにもこの時期にしか合同練習のスケジュールが組めないことから、度重なる事前ミーティングをへて三者の初顔合わせとなった。正午近く佐渡に着いたダンサーたちは稽古場へ直行。3時間ほど遅れてついた私の目には、すでに何度も練習を重ねているかのような印象で、息の合った濃厚な稽古が進められていた。

エンターテインメントに昇華した新体操

Photo: Takashi Okamoto

鼓童の楽曲にあわせたBLUE TOKYOの演技

BLUE TOKYOは青森山田高校、青森大学の男子新体操部を経た選抜メンバーによって結成されたグループ。青森大学のレベルの高さはかねてより有名だったが、デザイナーの三宅一生氏がその公演をプロデュースしたことにより、急速にメディアの注目を集めた。新体操のアクロバティックな技の数々が、ストリートダンスとの出会いによって、従来のダンスにはないダイナミックなエンターテイメントへと昇華していった。指導に当たる荒川栄氏は「高校、大学と新体操をやって多くの選手は一般企業に就職していきますが、実はもっと続けたいという想いを持っている人間もいるんですよね。しかし競技に打ち込んだ人間ほど違うジャンルに行くのに勇気がいる。それを導く場を作りたかった。新体操って第一回目の国体から行われたほど歴史があるのに、肩身が狭いんですよ(苦笑)。純粋に新体操を始めた彼らがもっと陽の目を浴びる方法がダンスへのチャレンジでした。そしてクリエイションだけに命をかけてきた男子新体操の世界にプロモーションの部分を担うことができる。それがBLUE TOKYOです」と熱く語る。

Photo: Takashi Okamoto

BLUE TOKYOにアドバイスをする鼓童の芸術監督・坂東玉三郎氏

全員20代というメンバーが軽やかに、猛々しく躍動する。太鼓の重厚さを切り裂くようにトンボを切ったり、コンビの動きを決めていく。優雅なロープの演技、目にも留まらぬバトンという新体操特有の技がパフォーマンスのリズムを変容させていく。 ▶続きを読む


鼓童ワン・アース・ツアー 〜神秘/寄稿●玉重佐知子氏


『アマテラス』から『神秘』へ
〜日本の心の、神話や民俗芸能に潜む神秘と出逢う舞台

文●玉重佐知子
写真●岡本隆史、玉重佐知子、上田恵里花

新作『神秘』の開幕迫る ─巳年の縁に導かれて

地鳴りのような響きの中を渦巻く大蛇、荒ぶる鬼や囃子。ほの暗い闇に浮かび上がる、時に怖くもあり、どこか懐かしい存在…。『神秘』は、日本各地に伝わる民俗芸能が持つ、神聖さや祈りの中に潜む神秘的な空気を鼓童の太鼓で表現する作品だ。神社や仏閣、あるいは、身近な森での様々なものとの出会い、そこで感じる非現実的で素晴らしい雰囲気が劇場で繰り広げられる。

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玉三郎さんが公演の演出のため佐渡の鼓童村に通い始めた2001年は巳年だった。 ▶続きを読む


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