いのちもやして/池永レオ遼太郎

僕は曲を書く時には

僕が見ている景色を鮮明に、

リアルな感情をストレートに、

お客様の頭ではなく

心に届く様に、

願わくば誰かの生きる糧と

なってほしいと思って書いている。

 

自分の感情に抗わず

悲しい時には悲しい曲を、

嬉しい時には嬉しい曲を。

 

自分の中から溢れ出てくるものに

身を任せていく。

舞台を作る事も同じだと思う。

 

Photo: Takashi Okamoto

 

今回演出の話を頂いた時に

この舞台で何を伝えたいのかを考えた。

 

自分が今考えている事、

自分が今感じている事、

自分の中にある一番リアルな感情と

向き合う事となった。

自然と辿り着いたのは、

僕らが鼓童で太鼓を叩く事への疑問だった。

 

何故僕たちは鼓童で太鼓を叩くのか。

 

戦争や疫病で公演を何度も中止に追い込まれながらも尚、太鼓を叩く。

無力感や不安に苛まれながらもまたバチを握り続ける。

 

2020年の春

世界が止まってしまった時から

ずっと考えている。

 

僕らの謳っている「ワン・アース」は一体どこにあるのだろうか。

 

今年の春、

ヨーロッパツアー中に

避難民への公演をした時

この人達を元気にしたい、

束の間の夢を見させてあげたい。

心からそう思った。

 

 

上手く言葉には出来ないけれど

まっすぐな気持ちで

誰かを元気にさせる

 

そういう舞台を作りたいと思った。

 

Photo: Takashi Okamoto

 

世がこの先どう変わろうとも

もしも僕たちが太鼓を叩く事が

誰かの灯火となるのであれば

いのちもやして挑み続けたい。

 

池永レオ遼太郎

 

Photo: Takashi Okamoto |Art Director: Hiroomi Hattori (COM Works)

Photo: Takashi Okamoto
Art Director: Hiroomi Hattori (COM Works)

●演出:池永レオ遼太郎  ●出演者(予定):中込健太小松崎正吾住吉佑太三浦康暉米山水木前田順康三枝晴太平田裕貴定成啓新山萌/他

鼓童「いのちもやして」日本ツアー

浅草公演を皮切りに、国内ツアーを開催いたします。

6月の浅草公演につきまして、下記の「ミチカケ」公演にて、ご来場いただいたお客様対象の会場先行予約を受付いたします。

鼓童「ミチカケ」関東4公演会場内での先行予約(浅草公演チケットのみ)

・2022.12.13(火) 18:30 東京都荒川区 サンパール荒川 大ホール
・2022.12.15(木) 18:30 埼玉県さいたま市 埼玉会館 大ホール
・2022.12.16(金) 18:30 千葉県千葉市 千葉市民会館 大ホール
・2022.12.18(日) 16:00 東京都世田谷区 昭和女子大学 人見記念講堂

※鼓童の会会員先行予約でお申込みいただいたお客様は、会場でのお申込みの必要はございません。

2023年6月 浅草公演

映画『戦慄せしめよ』おばまの森にて上映が決まりました!/中込健太

鼓童元メンバーの森久之さんが
ご自身でつくられたおばまの森という
障害福祉施設の契約者さん向けの
クリスマス会でぜひ【戦慄せしめよ】の
上映会をやりたいんだけどできるのかな?
と相談をうけた。

普段映画館に行けない方々に
本物の映画を見てほしい

その想いに打たれ
豊田利晃監督に電話をすると、

是非やって下さい。そういう会なら
タダでも良いくらいだよ

とすぐに快諾をいただき
おばまの森、クリスマス会での
上映がきまった。

お2人のまっすぐな想いで
映画がこんなふうに
またひとつ
たくさんのひとの心に響く機会が
生まれたこと
僕は本当に嬉しく思う。

久之さん、豊田監督ありがとうございます!


豊田利晃監督は
最新作【次元を超える】の製作にむけて
クラウドファウンディング中です。
こちらもぜひ!
https://toyodafilms.stores.jp

映画に対してまっすぐな情熱で行動する監督の最新作もとてもたのしみです。

鼓童発のカセットレーベル「0on(ゼロオン)」始動!

鼓童発のカセットレーベル「0on(ゼロオン)」始動!

この度、「0on」ゼロオンという、鼓童発のカセットレーベルを立ち上げました。
普段の鼓童の音楽とは違った、前衛的な実験音楽をベースに、ソロや少人数での作品を取り上げていく予定です。

数年前、初めて新譜カセットのミュージックシーンの存在を知り、そこからどんどんのめり込んでいきました。
そこには多種多様な音楽表現があり、尚且つ、大量生産大量消費の音楽ではなく、カセットというメディアを使った、限定的な発信のスタイルが、とても新鮮に思えました。

カセットの音色にも、とても可能性を感じています。
再生環境によって変わってこそしまいますが、そこも魅力の1つであり、やはり重低音の弾力はテープでしか味わえないものだと思っています。

「0on」ゼロオンというレーベル名は「0音」という意味から名付けました。
1音目が出る前、1音目になる前。
数学史上で、初めて「0」が発見されたときのように
有り触れた音世界を、今一度見つめ直し
まだ見ぬ音の可能性を追求したい。

そんな思いが込められています。

音楽は聞き流すこともできれば、集中し、没頭することもできます。
どうか私たちの音世界に歩み寄って、一緒に旅をしてみませんか。

ロゴデザイン:前田順康

 

9/7 ケンタタクユウタタク、住吉佑太ソロ 2作品をリリース!

「001 零音ゼロオン

ケンタタクユウタタク3rd Album
0onレーベル第1号
楽器を使わない多人数アンサンブル作品や、物音系コラージュ作品
即興演奏など全4曲を収録。
ケンタタクユウタタクの、また新しいサウンドが詰め込まれた意欲作。

オンラインストアで購入

あるとき、
コンクリートポエトリーという表現があるということを知った。

文字や言葉の持つ意味を排除し、解体し
物質としての言葉の可能性を模索する。
まるで絵のように、ならべられた
形としての文字の羅列から感じられるさまざまな
イメージを楽しむ詩があることを知った。

この時
これを音で行うことができないかと考えた。

音をバラバラに解体し
奏でる、というよりは
現象のような音の、断片を
紡いでいったとき
聴衆に各々に
さまざまなイメージを喚起させることができるのではないかと考えた。

そう考えが至るにあたったのは
皆川まゆむとのセッションの体験にある。

アスファルトを引っ掻く音、
土を叩く音、滝の音、
さまざまな音の中からうまれるおどりをみて
音を聴く人の中にどれほど
豊かなイメージがひろがっているのだろうと
見渡すことのできない、想像力を
感じた。

住吉佑太と、鼓童研修所で研修生とともに
楽器を使わずに、
さまざまなイマジネーションで
音を生み出し、
その断片を録音するという試みをした。

単なる手拍子が雨の降る音にも、
天プラを揚げる油がはぜる音にも
聴こえる。
息をする音が、風のようにも波のようにも聴こえた。
あるときには霧がかる山の情景が脳裏に喚起された。
この音たちは、楽曲と呼ぶより
余白をたくさんのこし、紡がれた
一編の詩のようにおもえた。

一心不乱に、たたく行為を探求してきたが
あらためて、
【聴く】立場に立ったときに
見えた世界は新しく、感動があった。

この時、録音された音と
後日、皆川まゆむのダンス作品のために、皆川と共同作業で録られた音を
住吉佑太がコラージュした作品が
「零音」というアルバムになった。

【聴く】という事から生み出されるもの。
喚起されるもの。

一音の響きから人の心にどんな景色が
生まれ、消えていくのか。

波打っていない湖面に石を投げ入れるように
静寂にどのような一音を、我々は鳴らすか。
その音は、聴衆に何をもたらすか。

みみをすませ【聴く】力にゆだね
時を忘れて
消え行く音の行方を追ってほしい。

中込 健太

「002 Mogari」

全編完全自宅録音による、篠笛だけを使った、住吉佑太初のソロ作品。
ドローン、物音、ミニマル、様々な音楽形態を形取りながら、篠笛の音表現の可能性を追求した1枚。全6曲収録。

→鼓童オンラインストアで購入

切りっぱなしの無数の竹に、海風が当たる。
1本1本の切り口で、空気の渦が音に変わる。

風の強さに変化する音色は
様々な倍音を発生させながら
互いに干渉し合い
無限の事象を生み出していく。

原初の音楽がそこにあるように思う。

倍音を辿って、偶然発せられる旋律は
モンゴルやアイヌのそれにも近く感じられる。

西洋音楽的な和音ではなく、無作為で自然的な音の重なり。
本当の意味での無調。

そんな宇宙的な音世界から
完全協和音を手がかりに
長い年月をかけて形作られてきた
人間の生み出す音楽たち。

自然、人間、音楽。

篠笛という楽器で、7畳半の自室から
それらについて表現したいと思った。

住吉 佑太

 

研修所講師ご紹介〜ヴォイストレーナー 野上結美先生〜 『全身を楽器のように…』/ 三浦 友恵

ヴォイストレーナー 野上結美 先生

 

 

 

 

 

 

 

2014年より鼓童研修所講師。

〈プロフィール〉
武蔵野音楽大学声楽科を総代にて卒業。

二期会オペラ研修所を修了後、岡村喬生演出NPOみんなのオペラ「魔笛」にて夜の女王役でオペラデビュー。その他多数のコンサートに出演。

イタリア、アメリカ留学を経て近年では、箏やダンサー、DJとのコラボレーション、CMなどの挿入歌などオペラをはじめ、ジャズ、ソウル、ゴスペル、シャンソン等を取り入れながら独創的なステージワークにも取り組んでいる。

ヴォイストレーナーとしても定評があり、アイドルグループやJ-popグループ、数々の劇団、舞台、ミュージカルの発声指導を担当。
二期会会員、二期会ロシア東欧オペラ研究会。

近年は鼓童のメンバーにも唄の指導を行う。また、鼓童名誉団員・山口幹文、小島千絵子と共演。

 

「自身が発声にとても悩んできた人生でした。 発声基礎を教えるボイストレーナーとしても活動しています。」

 

『鼓童との出会いは?』

 

友人に誘われて、アース・セレブレーション2008に遊びに行きました。

城山コンサートでの野外での音に興奮したのを覚えています。

Earth Celebration2008「城山コンサート」(撮影:宮川舞子)

 

『研修生への指導の内容は?』

 

歌い手として、全身を楽器のように使えるようにするための体づくり。

歌の呼吸、響き、滑舌、楽譜の読み書き、歌詞の解釈、表現力など…

歌はメンタルもとても大事なので、メンタルの向き合い方、整え方などもお話します。

立ち方から意識しながら、発声の基礎を行う

 

『最初に指導に来られた時の印象や記憶に残っていることはありますか?』

 

とても良い環境で研修ができて羨ましいと思いました。

研修所での全てのこと、人間の根本的な生活を大切にすることで、生み出す音がとても現実的で嘘のない音に繋がっていくんだなと感じました。

苦労はとても多いと思いますが、全てが音楽表現の糧となる貴重な環境だと思いました。

体の様々なところを意識しながらの、唄の実践

 

『研修生へ指導を通して思うこと、伝えたいことは?』

 

たくさんの学びを通じて、迷い、悩み、気づくことが多い中で自分こそが進んでいける道だと信じ、自分を応援しながら頑張って欲しいです。その姿勢は歳をとってもずっと通じていく道です。

何度でも基礎に立ち返り、自分を磨き続けられるプレーヤーになって欲しいです。

5月、研修所にて(前列中央は一緒に稽古に来てくださっている京矢先生。右隣が野上先生)

次回は「ボディトレーナー  京矢彩希先生」をご紹介いたします。

 

講師のお二人に鼓童ハートビートラヂオへご出演頂きました。
こちらでは、発声と身体づくりついてより詳しくお話して頂いております!

Noism×鼓童「鬼」/平田裕貴

Photo: Erika Ueda

音を鳴らす
空気が震える
身体が弾ける

Photo: Erika Ueda

身体を揺らす
風が吹く
音が導かれる

Photo: Erika Ueda

“タタク“と”オドル”

タタクからオドルのか
オドルからタタクのか

Photo: Erika Ueda

お互いに影響し合って
ぶつけ合って
混ざり合って
渦巻いていく

Photo: Erika Ueda

そんな作品に仕上がっています。

今回の作品「鬼」で
タタクとオドルは
お互いに影響し合いながらも
根本的には、共通する震源のエネルギーから
同時発生している感じがする。

全て事前に決まっている楽曲や振付
それを表現する身体は
常に即興状態。
今回の公演の醍醐味。

タタクに触発されるオドル
オドルに触発されるタタク
同時に発生するタタクとオドル

Photo: Erika Ueda

生音やライブの意義は常々感じているけど
今回はさらにそれが毎回面白くて
ワクワクする。
ドキドキする。

 

Noism×鼓童『鬼』
いよいよ明日初演です。

Photo: Ryu Endo

2022年7月1日(金)〜30日(土)Noism × 鼓童『鬼』(国内ツアー)