鼓童交流学校公演/地代純

Photo: Takashi Okamoto

鼓童には色々な公演がありますが、その中でも一番聴いてくれている人との距離が近いのが交流学校公演です。これは、小学校から高校まで、その学校の体育館で児童、生徒さんに向けて太鼓や和楽器を演奏するというものです。

Photo: Takashi Okamoto

途中、MCや自己紹介など、普段の舞台ではあまり喋らない私たちも言葉で伝えます。そしてこの公演のミソは、皆さんに太鼓を叩いてもらう“太鼓体験コーナー”です。

『太鼓は、誰でも簡単に音が出せる楽器です。』

『先ずは、自分が好きなように思いっ切り打ってみましょう。』

Photo: Takashi Okamoto

少し緊張気味だった生徒たちも、太鼓を打っているうちに段々とほぐれてきて、良い音になってきます。みんなのエネルギーはとても真っ直ぐで、とても純粋です。

Photo: Takashi Okamoto自分たちがエネルギーを出して演奏していたのに、終わったら自分たちがエネルギーをもらっているという不思議な感覚。

実は鼓童に入り、昨年初めて交流学校公演ツアーにつきました。

Photo: Takashi Okamoto

伝えるということ。伝わるということ。
太鼓でも言葉でもそれは一緒なんだなと思います。

Photo: Takashi Okamoto

そして、今年の交流公演は私が構成をまとめる役です。今の子どもたちに、等身大で飾らず太鼓を打っている私たちを見せられたら良いなと思います。

Photo: Takashi Okamoto

写真は2017年12月伊丹の中学校にて/撮影:岡本隆史

 

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https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/8426

交流公演(一般向け劇場公演)スケジュール

「道」稽古場より②/吉田航大

Photo: Erika Ueda

1月の佐渡は何度も寒波に見舞われ、時折晴れたかと思うとまた鉛色の空を見せる。見ていると、こちらの気も沈んでしまいそうな。しかし、鼓童村の稽古場からは活気に溢れた太鼓の音が聞こえて来る。

Photo: Erika Ueda

1月4日の若手寒稽古から始まり、今年の新作稽古、そして今春に全国を回る『道』公演の作り込みの稽古だ。今年で3回目を迎えるこの「道」公演。1回目は山口幹文、2回目は石塚充、そして3回目である今回は船橋裕一郎の演出でお届けする。

毎回その演出家の特徴が出る舞台となっているが、根っこの部分は同じ。前身の「佐渡の國 鬼太鼓座」時代から受け継いできた魂を次の世代へとつなげ、再創造を図る。これは鼓童の活動そのものと言える。

Photo: Erika Ueda

今回、代表の裕一郎さん演出のもと始動した「道」初稽古。顔合わせに集まった顔ぶれは若手が多いものの、やはりベテランの存在感は大きい。どこか緊張感のある顔合わせだった。

私は1日だけ見稽古させていただいた。新曲の稽古だった。

Photo: Erika Ueda

ホワイトボードの前に立ち、稽古を進めていたのはメンバー3年目、池永レオ遼太郎。今回の演出補佐を務め、この新曲の作曲者でもある。頭脳明晰で、音楽的にもメンバーを導いてくれる。

遼太郎さんと私は研修生の先輩、後輩(私)の関係。研修生の時から作曲や演出などするのが得意で、私も彼の作る曲が好きだった。そして芸術に対して誰よりも熱い情熱を抱いている。

しかし今回、自分の曲を「道」という作品に載せるのは簡単なことではないと彼は言う。それでも遼太郎さんが作る音楽が自然と裕一郎さんの思う「道」に乗っかっていくような、そんな気がしているのは私だけだろうか。これからどのような曲ができ、作品が仕上がってくるのか楽しみだ。

Photo: Erika Ueda

先代が踏み固めてきた道は固くて歩きやすい。それに比べて新しい道を作るというのはとても酷で時間がかかる。だが、一度できた道はいつ通っても通りやすくて安心する。そしてまた新しい道を作ろうとする。どんなに辛い道作りであっても、いつでも帰れる道がある。

Photo: Erika Ueda2018年「道」、乞うご期待ください。

【浅草公演、チケット発売開始しました!!】

2018.06.20(水) 〜2018.06.24(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

鼓童特別公演2018「道」全国ツアー

「道」稽古場より①/池永レオ遼太郎

「道」稽古場より①/池永レオ遼太郎

Photo: Erika Ueda

1月。
6月の「道」公演に向けて、最初の顔合わせ稽古が行われました。

Photo: Erika Ueda

60代から20代まで。黎明期れいめいきより鼓童の根幹を作り上げてきた大先輩方。それを継承し発展させてきた先輩方。そして、これからの鼓童を担う我々若者達。3世代が作り上げる、新たな「道」です。

Photo: Erika Ueda

先輩方の一挙一動全てに自分たちの至らなさを痛感する毎日です。
たたずまい。音。稽古に取り組む姿勢。只々、圧倒されるばかりです。

Photo: Erika Ueda

我々若手は全力で喰らい付き、少しでも多く吸収し、より良い舞台を皆さまにお届けできる様、精進して参ります。

Photo: Erika Ueda

余談ではございますが、今回私は演出補佐として作品作りに関わらせて頂いています。新たな表現や曲などにも積極的に取り組んで参ります。

Photo: Erika Ueda

Photo: Erika Ueda

血湧き肉躍る。
まだまだ先ではございますが、「道」公演、乞うご期待くださいませ。

鼓童特別公演2018「道」

公演予定地:北海道、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、東京、愛知、京都

【東京・浅草公演】2018年2月3日(土)チケット発売!

鼓童特別公演2018「道」全国ツアー

新研修生面接にて/内田依利

1月7日・8日の1泊2日で、「太鼓芸能集団 鼓童」メンバー養成コースの新研修生を選考する実地面接を柿野浦研修所にて行いました。

1日目の夕方、現研修生による稽古発表の時間がありました。次の後輩へむけて張り切って演奏する研修生たち。年末年始は9ヶ月ぶりに実家に戻った研修生たちから出ていた言葉は、どれも実感がこもっていました。

「人間はすぐに怠けたがる!」

下界(研修生は島外をこう呼ぶ  笑)には人を怠けさせるものにあふれていて、いくら集中しようとしても、誘惑が多すぎると気づいたようです。
目の前のことに集中できないので、やることも雑になり、やる気も失せていく感覚があったと話してくれました。研修所では、必要最低限のものしかないから工夫することを覚えて行きます。研修所が、いかに集中して学ぶことに恵まれているかを心から実感したと言っていました。また、他には今まで親が当たり前にやってくれていた、料理、洗濯、掃除がいかに大変なことか分かりましたと言っていた研修生も。

世の中の20歳前の人たちが、どれほど実感を持って、このようなことに気が付けるだろうかとしみじみ思ってしまいました。

4月、高卒の何名かの研修生たちは、学生気分が抜けませんでした。その頼りなかった学生たちが、みるみるしっかりと研修生になり、若者の顔になっていきます。そんな中でも一緒に過ごして色々伝えていると、本当に伝わっているのだろうかと心配になる時もあります。

ですが、今回の彼らの素直な気持ちから出てきた言葉は、ちゃんと受け止めてそれぞれの種を育ててくれていることを教えてくれました。

彼らに学ばせることや教えることはできません。

できるのは種を蒔き、環境を整えること。

悩みながら、工夫しながら、失敗もしながら自分なりに気づいて育てた種は、自分だけの花にいつか育ってくれると思います。

新しい研修生にも期待しつつ、みるみる変わっていく研修生の成長スピードに自分も食らいついていきたいです。

伊藤多喜雄さん追い込み稽古!〜研修生最終発表会/内田依利

伊藤多喜雄さん追い込み稽古!〜研修生最終発表会

毎年12月、最後の発表会直前の追い込みの時期に、研修所では民謡歌手の伊藤多喜雄さん稽古期間があります。

熱く熱く、研修生一人一人と向き合い、自らも歌い続けてくださる稽古が続きます。

お腹の中から叫びたくなるような歌を。内臓全体で歌うんだと。民謡にも色々な歌があり、その背景も実感とともに話しくださいます。自らの50年の民謡歌手人生を切り分けてくださる貴重な時間です。その時代や仕事の様子が目に浮かぶような話しぶり。

木造の研修所校舎に、外では雪が降っていて、ストーブ一つではなかなか暖まらない室内。そこに故郷への思い、辛い仕事も受け入れること、仕事の帰りを待ちわびる思い、そういう思いを重ねてみろと。毎日やることがたくさんあって、忙しい研修生も、この最後の発表会の時期に初心を思い出した様です。

1年生は進級発表会、2年生は最終発表会。この多喜雄さんの稽古期間を経て、研修生活の思いを音に込めて打ち込み、歌い、踊りました。技術的には未熟であっても、やはり原点はこの思いが本気であるかどうか、伝わるかどうか。発表会はいつも、見ているこちらも身が引き締まります。

この音で、今年一年を締めくくりました。ありがとうございました! お疲れ様でした!