佐渡宿根木公演2022/地代純

この公演は2012年、私がまだ鼓童の研修生だった時に初めて幕を開けました。

当時はメンバー、スタッフ、そして地元宿根木の方々、全員で雑巾掛けをし、すす払いをし、竹を切り出し、幟を立てて、そのままの意味で “一から“ 舞台を作り上げました。

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamotoその場所に鼓童として10年分の様々な経験をし、また戻って来られたことをとても嬉しく思います。

今現在、日本も含め世界の各地では様々な出来事が起き、混沌としたものを当たり前だった日常の直ぐ隣に、或いは既に中に感じています。

我々、太鼓打ちは何ができるのか。

表現者は何を届けるべきか。

それでも、当たり前に明日を迎えることができた者のひとりとして、精一杯、何かを表現して行きたい。

Photo: Erika

この時代に生まれ、今の鼓童としていることの意味を。

明日を “また“ 迎えることのできる活力に変えて。

自分自身が笑って、感動して、心動いた瞬間を感謝と共にこのひと時に詰め込みます。

今年も多くの皆様のもとへ春の芽吹きと共に宿根木の音をお届け出来ますことを願っております。

鼓童 佐渡宿根木公演 2022

2022.04.29(金)〜2022.05.07(土) 新潟県佐渡市 宿根木公会堂

開演
04.29(金) 14:30[大太鼓]藤本吉利
04.30(土) 11:00[大太鼓]見留知弘
04.30(土) 14:30[大太鼓]藤本吉利
05.01(日) 11:00[大太鼓]見留知弘
05.02(月) 休演日
05.03(火) 14:30[大太鼓]藤本吉利
05.04(水) 11:00[大太鼓]見留知弘
05.04(水) 14:30[大太鼓]藤本吉利
05.05(木) 11:00[大太鼓]見留知弘
05.06(金) 休演日
05.07(土) 11:00[大太鼓]藤本吉利
05.07(土) 14:30[大太鼓]見留知弘
開場
各回30分前
公演時間
約60分
前売料金
大人(中学生以上)4,000円、小人(4歳〜小学生)1,800円

【各種割引】
鼓童の会会員価格:大人3,500円、小人1,300円
団体割引:10枚以上のお求めで1枚につき10%引き

当日料金
大人(中学生以上)4,500円、小人(4歳〜小学生)2,300円
客席について
全席自由、3歳以下無料

※3歳以下のお子様はお座席ご利用時、小人扱いとなります。

発売状況
2022年3月2日(水)発売開始
プレイガイド
鼓童チケットサービス Tel. 0259-86-2330 (月~金 9:30~17:00)

鼓童チケット予約サイト https://piagettii.s2.e-get.jp/kodo/pt/

e+(イープラス)http://eplus.jp

【佐渡島内 店頭販売】
アミューズメント佐渡 Tel. 0259-52-2001(火~金 9:00〜17:00)

たたこう館(佐渡太鼓体験交流館) Tel. 0259-86-2320(火~日 9:00〜17:00)

佐渡観光交流機構 南佐渡支部(マリンプラザ)Tel. 0259-86-3200

鼓童の会 先行予約
2022年3月1日(火)10:00〜23:59

※先行予約の申し込み方法は、機関誌 季刊「鼓童」新春号同封のご案内をご覧ください。

託児
なし
会場住所
新潟県佐渡市宿根木456
会場アクセス
佐渡島内所要時間(車でお越しの場合):両津港より約1時間15分、小木港より約15分、佐渡太鼓体験交流館(たたこう館)より約10分。
会場ウェブサイト
http://shukunegi.com/
お問い合わせ
鼓童 Tel. 0259-86-3630

 

太鼓の学校「エクサドンファシリテーター養成講座」/宮﨑正美

 1月22日から始まりました「エクサドンファシリテーター養成講座2022冬」ですが、3月12日までの全8回の講義を終え、15名の方が修了されました。

 毎週土曜日の朝、皆さんとお顔を合わせ、「さあやるぞ!」と気合を入れてきたこの8週でした。(アメリカからは金曜の夕方、夜というお疲れの中の受講、本当にありがとうございました!)

 太鼓グループに所属している方、介護施設にお勤めの方、音楽療法士、教育機関にお勤めの方、太鼓未経験の方もいて、様々な方がそれぞれの想いで、受講してくださいました。受講生の方々の考えや、それぞれの方のこれまでの経験を共有することで、お互い学び合う事ができ、とても有意義な講座になりました。

 

 目標は、この講座を修了したら「エクサドンファシリテーターとして、ご自身の作成したプログラムで太鼓のワークショップ(エクサドン)を行うこと」です。

まず、エクサドンファシリテーターの心得、エクサドンプログラムの構成についての講義。次に、分かりやすい表現の仕方、姿勢、ネタを学ぶ中で、どういうことに気を付ける必要があるかなど、サマリー動画をもとに詳しくお伝えしました。

 講義後半では、班分けをして、受講生同士で話し合い、模擬的にプログラム作成を行ってもらいました。お互いの意見を聴き合う時間です。最終的には、受講生それぞれの方が実際行うであろう対象者を思い浮かべて、自分なりのプログラムを作成していただきました。最終回ではお互いの考えたプログラムを共有し、質問や課題を皆さんと話し合いました。

 真剣に講義を聴き、他の受講生の話に耳を傾け、お忙しい中、一生懸命タスクに取り組んでくださる姿から、周囲の人々を太鼓で幸せにしたいというヤル気、本気が伝わってきました。

 

 このコロナ禍で、実際、大勢の人たちを集めて一緒に太鼓をたたくことは難しいかもしれませんが、世の中は常に動いています。時間は止まりません。今を幸せに生きたい、幸せに生きてもらいたい。そんな想いのいっぱい詰まったエクサドン。

 

 今回繋がったご縁を大切に、今後もエクサドンを進化させていきたいと考えております。

 

 太鼓の学校「エクサドンファシリテーター養成講座2022」は今秋(10月頃~)2回目が開催されます。7月頃からの募集開始予定です。是非、志をともにする仲間と一緒に学びませんか。

 

 

ヨーロッパツアーを終えて

2022年3月29日、エストニア、タリン。ウクライナから避難された方々を対象とした特別公演のフィナーレ。

洲﨑拓郎

ヨーロッパツアー班が帰国いたしました。

多くの方々を公演会場にお迎えでき、喜んで頂けたことは本当に嬉しいことでした。改めて、ご来場いただいたお客様と公演実現に尽力いただいた関係者の皆様へ心より感謝申し上げます。

今回はパンデミックの中で多くの困難と向き合い、公演が中止になるなど私たちも直接的に大きな影響を受けました。エストニアでは、ウクライナから避難して来られた方々に向けた公演を行い、戦争により住む場所や家族を奪われた多くの方々を、間近に感じることとなりました。

ツアーキャストは、みな心を揺さぶられて帰ってきました。彼らの思いを改めて皆様にお伝えしたいと思います。また、それを鼓童の思いとして深め、私たちに出来る事を考え続けてまいります。

株式会社北前船 代表取締役社長
洲﨑拓郎

 

池永レオ遼太郎

先日、2ヶ月のヨーロッパツアーを終え、無事に帰国致しました。

ツアー途中で全公演を打ち切り、急遽帰国した2年前のヨーロッパツアーも印象的でしたが、パンデミックと戦争の最中に巡った今回のツアーは、私たち一人ひとりの魂を揺るがす経験となりました。

毎公演沢山のお客様に迎えて頂き、行く先々で「来てくれてありがとう」という言葉を頂きました。

パンデミックが始まって以来、日頃から自分たちの存在意義などについて葛藤していた私たちにとっては、何よりの報いの言葉でした。

太鼓を通じて、私たちに何ができるか。

この事と向き合う事が、40年以上も前から世界を旅してきた鼓童で太鼓を叩く者としての大切な使命である事を再認識したツアーでした。

鼓童
池永レオ遼太郎

鼓童佐渡宿根木公演 宿泊付きコースのご案内

こんにちは鼓童です。鼓童佐渡宿根木公演2022、チケット好評発売中です!

かつての芝居小屋 宿根木公会堂で1回100名ほどのお客様のみをお迎えできる特別な公演ですので、チケットのお申し込みはどうぞお早めに。

今回は佐渡に1泊、お宿から宿根木までの送迎つきというお手軽なコースと、宿根木公演と佐渡の風物詩「薪能(たきぎのう)」の両方を楽しめる佐渡旅行コースがございます。

はじめて佐渡にいらっしゃる方でも安心して楽しめますので、どうぞご利用くださいませ。

それぞれのコースは公演日時の指定がございます。

詳細はこちらから↓

たびのホテル佐渡プラン

佐渡の旅ツアー

春の佐渡でお待ちしています。

宮本常一先生からの手紙、そして「ひとつの地球」/洲﨑拓郎

鼓童が目指す「ひとつの地球」について考えています。

長い歴史の中で、人は自分自身や家族、誇りを守りたいと思い、より良い暮らしを求め、新しいことに挑戦し、自然を理解しようと努めてきました。同時に、それらが隣人に侵されるのではないかと恐れ、また押し入って略奪し、争い続けてもきました。

何千万、何億という人々のそうした動機に基づく、国家間の綱引き、そして悲劇的な紛争。毎日メディアで伝えられる一つ一つの出来事に対し、理屈や言葉で向き合おうとすると、無力感にさいなまれます。それはたいてい今に始まったことではなく、何十年、何百年、時に何千年も前から、地域や記憶に凝り固まっているものに突き動かされているからです。

先日、1975年に宮本常一先生から、鼓童の前身である佐渡の國 鬼太鼓座の団員に宛てた手紙が見つかりました。フランス、パリのピエールカルダン劇場で連続公演を終えた当時のメンバーが投函した手紙に対し、お返事としていただいたものです。

 

そこには、以下のように綴られていました。

世の中が便利になりすぎて、佐渡もパリーもあまり距離がなくなりました。ただわれわれにはまだ大きな距離感があり、感覚の上でも隔絶したものがあります。いま一番大切なことは、そうした民族間の隔絶感をなくすることだと思います。

〜中略〜

戦争をなくするためにはどれだけの手続きと努力が必要なのかを考え続けています。皆さんが太鼓を叩いているのもおなじ希望を持ってのことと思います。

「民族間の隔絶感」は、47年を経た今になっても、残念ながらなくなっていません。交通や情報の流通が進化しただけでは変わっていかない、「感覚の隔絶」をどうするか。

何千万、何億という人々には、国家の枠組みとは別に、それぞれに日常と暮らしがあります。声高に聞こえてこない、ささやかで、理屈や言葉にならない喜びや、時に悲しみ。そうしたものは民族の違いや国境に左右されず、脈々と続いてきました。

それらが祭りや芸能、音楽で横に繋がり、そうして笑顔や喜びが、凝り固まった恐れをすこしずつ溶かしてくれないだろうか。そうすれば、地球がすこしずつひとつになっていくのではないだろうか、と考えます。

1984年の開始以来38年目を迎えた「ワン・アース・ツアー」、2月〜3月に欧州9カ国を巡ったこの旅は、さまざまな困難に遭いながらも、多くの方々に支えられ、本日千穐楽を迎えることができました。心から感謝するとともに、このツアーも「ひとつの地球」に、ほんの僅かでも近づく一歩になっていれば、と願わずにはいられません。

わたしたちは、太鼓の響きが生み出す「共感共同体」を作る活動が、47年前に宮本先生から頂いた手紙に対する、ひとつの答えになり得ると信じています。疫病や紛争に対し、恐れに囚われず、笑顔を交わし合うことが出来る人間の心を信じ、太鼓と芸能を楽しみ、これからも活動を続けてまいります。

宮本常一
民俗学者、農村指導者。最初期の鬼太鼓座の活動に大きな思想的影響を与え、その知識や発想は現在に至っても、鼓童の活動の根底に脈々と受け継がれています。

写真:Radoslaw Kazmierczak

鼓童へのご支援をお願い申し上げます。

 

 

New Album「兆」リリース/住吉佑太

赤嶺さんが亡くなって1年。

赤嶺さんと会うのは、海外ツアーのときが多かった。
パンデミックの影響もあって、なかなか海外に行けない時期が続いていたこともあり、
実は今でも、赤嶺さんが空港で待ってくれているんじゃないかと思ってしまう。

赤嶺さんの病状を知らされたとき、僕らはレコーディングの真っ最中だった。
そのとき作っていたのが、今日リリースされる「兆」というアルバムである。

舞台の仕事が減り、鼓童村に篭って、それでも今の自分たちにできることは何かと、
悶々と試行錯誤を繰り返す日々が過ぎていった。
そんな中でも「自分たちだけで音を録って発信していく」ことに、いち早く可能性を感じてくれていたのは赤嶺さんだった。

Pitch&Syncとの協業企画についても、赤嶺さんが舵取りをしてくれたおかげで、今の関係がある。

何か新しい音源が出来上がる度に、赤嶺さんからメッセージが届いた。

熱く、優しい、赤嶺さんの言葉は、文字からもその語り口が滲み出てくるようだった。
いつも最後は「これからも期待しています」と結ばれていた。

この「兆」というアルバムは、本当に演奏者たちだけで録音した、最初のアルバムとなる。
段取りがうまくいかないこともあったし、トラブルもたくさんあった。
その度に皆で協力しあって、それでも確実に、ここまで進んできた。

赤嶺さんが感じてくれていた可能性を、これからもますます飛躍させていきたい。
そんな「まえぶれ」でもあるこのアルバムを、赤嶺さんの命日である今日、リリースする。

赤嶺さんにも届きますように。

佐渡島より、世界へ。
願いと祈りを込めて。

住吉 佑太

「兆」アルバム配信先はこちら

赤嶺隆さんを偲んで/本間康子

赤嶺隆さんへのメッセージ

 

東日本大震災から11年/船橋裕一郎

東日本大震災から11年の月日が経ちました。

震災により犠牲になられた全ての方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。
また、被災された地域の復興と皆様の御平安を祈念いたします。

何気ない日常の尊さを
考えさせられる日々が続きます。

私たちは今日という日を忘れることなく
人間の困難を乗り越える力を信じ、
太鼓の響きが
少しでも皆さまの活力の一助となり得るよう
佐渡から旅を続け、
音を届け続けてまいります。

午後2時46分 黙祷を捧げます。

2022年3月11日
鼓童代表・船橋裕一郎

Dynamism/中込健太

レナード衛藤さんのライブ Dynamismに出演します。

今回、ダンサーの皆さん、山内利一さんとのライブ
それから、レナード衛藤さん、金子竜太郎さん、健太の日
レナード衛藤さん、坂本雅幸さん、健太の日
と三つのトリオで演奏します。

東京に、リハーサルできています。
叩き手が1人変わるだけでも、楽曲はまったく
違う生き物として生まれ変わる、そんな瞬間を
目の当たりにしています。

レナード衛藤さんは
その人のキャラクターから聴こえてくる音を
楽曲にし、演出していきます。

ひとりひとりがいきいきと
音を出し、感じ合うことの
喜びは世代も、
その人が生きてきた背景も、
超えて。

そんな音が弾けるライブの場に
ぜひ皆様遊びに来てください。

2022年3月4日(金)〜3月6日(日)中込健太出演「レナード衛藤 “Dynamism 2022”」(東京都渋谷区)

鼓童×リサイクル/本間康子

鼓童では、自分たちのできる範囲でリサイクルに取り組んでいます。
以前からやっているのは、普段の食事から出る生ゴミの堆肥化や、使用済みの割り箸やカンナ屑をとっておいて薪ストーブの焚きつけにすることなどです。

薪ストーブの薪は、鼓童村周辺の森の木を間伐して、一年以上かけて乾燥させたものを使っています。春の作業は、鼓童村にいる皆で行う「村民行事」となっています。

2018年の村民行事の様子(撮影:西田太郎)

鼓童村・食堂の薪ストーブ

リサイクル募金「きしゃぽん」

 

 

 

 

 

 

 

リサイクルというと、鼓童を応援してくださっている皆様には「きしゃぽん」がおなじみかもしれません。
古本などを送っていただくと、研修生の稽古用のバチ材の購入支援につながるというものです。ご支援くださっている皆様、本当にありがとうございます。
鼓童で購読している雑誌なども、たまってくると「きしゃぽん」に送っています。

昨年末から「リサイクル募金」と名称が変わり、お送りいただける物の対象範囲が広がりました。
リサイクル募金「きしゃぽん」

 

自分たちができるリサイクルとして、昨年からは新たに、使い捨てコンタクトレンズの空ケースや、使い捨てカイロのリサイクル活動への協力を始めました。

コンタクトレンズケースのリサイクル

鼓童内でどのくらいの人がコンタクトを使っているか、聞き取りから始めたところ、かなりの人数の使用者がいることもわかり、鼓童村や研修所に回収箱を置いてみることにしました。
ツアー先で回収箱を見かけて気になっていたというメンバーがいました。渡辺ちひろです。
そこで呼びかけは、ちひろにお願いしました。

忙しい朝の時間にコンタクトの容器を捨てず、リサイクルへ回すのは、“ちょっと手間だな〜“と感じる方もいると思います。
正直、私自身もそう思っていました
でもここ数日、コンタクト容器をゴミ箱に捨てないってだけで、環境のために何か出来ている気がして、朝からちょっぴり気分が上がっています。なんだかいい感じです。
今世界が抱えている海洋プラスチックごみ問題
この微力な行動が将来に繋がり、何かが変わっていくかも知れません。
少しでも興味のある方がいらっしゃいましたら、無理をしない程度にご協力を頂ければ嬉しいです。

と、呼びかけてくれました。
回収できた量は1年間で約3.8キロ。1個1グラム強で、約3700個集まりました。

使い捨てコンタクトレンズの空ケースリサイクル
アイシティecoプロジェクト

 

使い捨てカイロのリサイクル

クラウドファンディングサイト「Readyfor」で「使用済み使い捨てカイロを使い、地球の水質浄化を目指したい!」というプロジェクトを見かけたのがきっかけで、鼓童内に協力を呼びかけました。
昨年は冬の期間に野外での撮影などが多かったこともあって、短期間でカイロが300個ほど集まり、早々にお届けすることができました。
今年も回収しますと宣言したところ、すでに昨年を超える量(約15キロ・400個弱)が集まっています。

2021年2月、雪の清水寺にて(撮影:米谷友宏)

Go Green Group

これらの活動を通して、何か新しいことを始めてみようとする時、さっと動いて協力してくれる人達が周囲にいるのは、心強いものだと感じることができました。
「SDGs」というと身構えてしまうところがありますが、鼓童村から出るゴミを少し減らすことができたかな、ちょっと環境にいいことができたかなという気持ちで、気負わずに取り組んでいければと思います。

 

太鼓を伝える。太鼓でツナグ。/小野田太陽

鼓童が培ってきた太鼓の技術をリモートレッスンでお伝えする「鼓童 太鼓の学校」を開始して1年近くが経ちました。0期の受講者の方々とのトライアルを経て、現在は第1期の終盤に向かっております。

若手の自分が教える立場にいる事に最初は戸惑いを覚えましたが、とっても濃厚な経験を積んでおります。

カリフォルニアで生まれ育ったこともあって、レッスンの英語の通訳も担当しているのですが、やはり「言葉」は難しいです。「よろしくお願いします」という挨拶に正確な英訳はないですし、「ふところを深く」などの日本的概念はどう言えば伝わるか… こういった言葉を通訳しながらレッスンを進めているので脳が追い付かないこともしばしば…(汗)。さらには研修所を通じて鼓童のメンバー全員が獲得した共通の感覚を世界の誰しもがわかるように伝えられるようになるまでには時間がかかりました。これは先輩方の話を通訳しつつ自分の感覚とすり合わせて行く中で、日英と頭の中で2回整理できた分「感覚」がより明確な「言葉」になったと感じます。

鼓童に絶対的な「型」が存在しないことも難点でした。「音」に注視しそれぞれの身体にあった打ち方を用いて「良い音」を目指しているので、演奏者が留意しているポイントはそれぞれ少しずつ異なっています。ですので、鼓童式ワークショップのパイオニア的存在である齊藤栄一にアドバイスを乞うたり、鼓童の内外で指導している見留知弘が大事にしている事を体験する勉強会を行ったり。

第0期の「ゲスト回」に登場した齊藤栄一のワークショップ。

こちらは第1期の「ゲスト回」。ゲスト講師の見留知弘が基礎打ちから大太鼓への応用について説明しています。

この他にも様々なメンバーに聞き取りを行い共通点を整理しました。さらには研修生を指導していただいている外部講師の方々も参考にさせていただき今に至ります。

結論としては「型は無い」けど「自然体で太鼓を打つ」のが鼓童流であり、それを体得するために皆日々鍛錬しているということが分かりました。

そのプロセスを共有するのが「鼓童 太鼓の学校」です。ですのでその時担当した講師によってレッスン内容の伝え方が変わるのも醍醐味の一つと思っています。

講師リーダーの阿部好江と。 受講生の方々と丁寧に繋がりを築いていきます。

小松崎正吾の身体作りのパート、舞台に立つ視点からの実際的なアドバイスは「鼓童 太鼓の学校」の特徴。

そこから感じられる先輩方の太鼓への向かい方、言ってしまえば「生き様」を伺える機会は中々ありません。とっても刺激的です。ある意味私にしか経験できない贅沢かもしれません。

でもこの経験を少しでも正確に、世界中の太鼓打ちと共有したい!そんな思いで臨んでいます。

阿部好江と地代純は引き続き第2期も担当。世界の太鼓仲間と繋がる時間をご一緒に。

2022年5月から第2期の「鼓童 太鼓の学校」が始まりますが、私は国内ツアーに出演するため、これまでとは関わり方が変わりますが、今度は「鼓童 太鼓の学校」で培ったものを舞台に活かすべく頑張ります!

太鼓の学校で知り合った方々とも今度はぜひ劇場でお会いしましょう!

 

鼓童 太鼓の学校