ある日の研修生/本間康子

 

研修所のカリキュラムは太鼓以外にも色々なものがあります。

今日の2年生の稽古は、「能」と「茶道(ちゃどう)」でした。

能も茶道も、地元の先生にご指導いただいています。

私は、能の稽古に立会うことは多いのですが、珍しく茶道にも立会うことになり、まるで「一日密着取材」のような感じで、終日彼らと行動を共にしました。

 

 

午前は能。

6月15日に行われる羽茂祭りで披露する「鞍馬天狗」の仕舞を、能舞台をお借りし、本番さながらに稽古させていただきました。

(着物はTシャツとジャージの上から着付けていますので、お見苦しい点がありますことご容赦ください。)

Photo: Yasuko Homma

 

Photo: Yasuko Homma

 

Photo: Yasuko Homma

本物の能舞台での稽古。

ほかではあまり経験できないことかなと思います。

 

 

午後は茶道。

立礼(りゅうれい)という形式でのお点前を稽古しました。

交代でお点前をし、正客となった人がお茶をいただきます。

Photo: Yasuko Homma

ちなみに、この立礼の台はスタッフの風間正文が製作したものです。

鼓童らしく「三つ巴」がかたどられています。

Photo: Yasuko Homma

はたで見ている私にとっては心なごむ一時でしたが、先生に間近で見守られながら、ふくささばきや手順を思い出しつつお点前する研修生にとっては、冷や汗をかく場面もあったかもしれません。

Photo: Yasuko Homma

 

稽古終了後、研修生が、先生と私に出してくれた一服は、なかなかのお味でした。

Photo: Yasuko Homma

 

 

 

研修所紹介ムービー

鼓童文化財団研修所

[研修生]能の稽古(12月3〜4日)/本間康子

Photo: Yasuko Homma1年生の秋から、「能」の稽古が始まっています。12月には宝生流能楽師シテ方の朝倉大輔先生をお迎えし、深浦学舎で1泊2日の合宿稽古を行いました。

Photo: Yasuko Homma

朝倉先生はまだ20代。家元の書生として能楽堂に住み込むかたわら、公演やワークショップで各地を飛び回り、家元の海外公演にも同行するなど、多忙な日々を過ごしておられる若手能楽師です。

お話を伺いながら、ある意味では研修生より過酷な環境にいらっしゃると感じることも多々あります。

Photo: Yasuko Homma

演目は、3年連続で「鞍馬天狗くらまてんぐ」に取り組んでいます。

牛若丸に兵法を授ける天狗の話で、大きな声で元気よく謡い、舞の型も多く動きの激しい、若い人達にぴったりの能です。

朝倉先生には冬と春に指導に来ていただき、その間を地元の先生にみていただきながら、2年生の7月まで稽古が続きます。

Photo: Yasuko Homma

謡と舞を習うこと、そして着物や袴の着方や、所作を学ぶことによって、研修生の姿が変わってくるように感じています。

「初舞台は鞍馬天狗の稚児の役だった」と朝倉先生。

物心ついた頃から子方として能に出演し、好き嫌いではなく、能のない人生というものが想像できなかったという朝倉先生。

研修生と年齢の近い先生が、「能」という奥深い世界を、彼らに少し身近なものに引き寄せてくださった2日間でした。

Photo: Yasuko Homma

 

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